2024.5.31 更新
北陸ワイナリーを巡る旅(3)”能登半島にある北陸最大のワイナリー”能登ワインin石川県鳳珠群穴水町~
「能登半島の地震(「令和6年能登半島地震」)により、能登ワインは被害を受けました。
タンクや瓶詰めされたワインの多くは無事でしたが、割れてしまったタンクからは約10,000ℓのワインが流出し、樽熟成中の2樽は落ちて割れ、売店にあった瓶も割れました。
従業員さんたちは全員無事で、被災後復興に向けた活動をされています。
“北陸のいいモノ・コトを発掘する”COREZOでは、北陸のワイナリーを紹介しています。
第三回目は、石川県鳳珠郡穴水町(ほうすぐんあなみずまち)にある、北陸最大のワイナリー「能登ワイン」です。
設立からそろそろ20年を迎える能登ワインは北陸地方最大のワイナリーです。
金沢駅近くなど多くの観光客が利用するお店では能登ワインが陳列棚に必ず並んでいます。
北陸の数多くの店舗で販売されている能登ワインを訪問し、お話を伺ってきました。
ワインの醸造と販売を事業とする能登ワインの設立は2004年にさかのぼります。
25ヘクタールほどのブドウ畑から14万本ほどのワインを造っていると聞くと、その大規模さがなんとなく実感できます。
ワイナリーから見える畑も広大ですが、ワイナリーの目の前に広がる自社畑は全体の8分の1ほどだそうです。
青い空の下、太陽の光を浴びて、緑色に茂った葉をつけたブドウの樹の畝がどこまでも続いていることがわかります。
このような広大な畑がワイナリーを取り囲んでいて、見事な景色です。
この小高い丘の上は見晴らしの良いスペースとなっていますので、写真撮影にうってつけです。せっかく写真を撮ろうと思っても“NOTO”の“O”がなくなっているじゃないか!と思いますか?
もともと“O”はないのです。
“O”は輪っか(わっか)ですので、輪は1人じゃ作れないから、たとえば2人で“O”の形を作ってほしいという想いが込められています。
ワイン造りも一緒で、皆で協力しないと美味しいワインはできないという意味でもあるのでしょう。
さて、能登ワインが得意とするのはヤマソーヴィニヨンという品種です。
この品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンと日本に自生するヤマブドウとの交配種で、日本固有のブドウです。
ヤマソーヴィニヨンから造られるワインは、色素が濃く出て、豊かな酸味があって、ヤマブドウ特有の野生風味も感じられるといわれます。
日本ワイン(日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して、日本国内で醸造されたワイン)のブドウ品種(赤ワイン)として、ヤマソーヴィニヨンは上位10位に入るものの、あまり知られていない品種かもしれません。
主要な産地は石川県、山形県、長野県です。
収量は年により変動はありますが、日本では毎年200トンから300トンくらいのヤマソーヴィニヨンが収穫され、ワインになります。
能登ワインの畑では、収穫前のヤマソーヴィニヨンが見事に実っていました(写真)。
この品種に次いで有望なのは、サペラヴィというブドウ品種です。
この品種はほとんど知られていないと思いますが、世界最古のワイン産地として知られるジョージアが原産です(ジョージアはかつてグルジアと呼ばれていましたが、日本は2015年から公式にジョージアに呼び名を変更しています。グルジアという呼び名はロシア語で、ジョージアは英語名です。2008年のロシアによる軍事侵攻を受けて、ロシアと国交断絶したジョージアからの要請が関係しているようです。ウクライナの首都を以前はキエフと呼んでいたのが、最近はキーウに変更となったことを思い出し、悲しい気持ちになります。COREZOではグルジアではなく、ジョージアと呼びます)。
ジョージア原産のサペラヴィが能登ワインの畑に植えられてから、すでに5年が経過しますが、生育は良く、収量も多く、良いワインができているそうです。
能登ワインの広大な畑では約20種のブドウ品種が植えられています。
能登の土地に適した品種かどうかを見極めるには数年を要するそうです。
日本の夏は高温多湿ということが影響してか、うまく育たない品種もあるそうです。
同じ本数のブドウの樹を植えていても、同じ収量となるわけではなく、収量が伸びない品種もあるそうです。
結果として、造られるワインは赤ワインが主流となります。
ですが、白ワインも造られていて、主力のブドウ品種はシャルドネです。
能登のシャルドネは酸があり、爽やかでキレのある味わいです(下記はシャルドネです)。
収量は多くないのですが、赤ワイン品種のサンジョベーゼとメルロから造られているロゼワインなど、面白いワインもあります。
また、ワインにオリジナルのラベルを貼ってくれるサービスもあります。
結婚式や赤ちゃんの誕生など人生のイベントで、このようなサービスを利用するのも一案です。
能登ワインは北陸最大のワイナリーですから醸造設備も立派で大きいです。
大きなタンクが複数ありますが、そのサイズは10,000リットルと巨大です。
ひとつのタンクから1万5千本のワインが造られるそうです。
試飲スペースからは畑を見渡せるだけでなく、醸造の様子も見ることができるようになっています。
訪問者用の駐車スペースも広く、大型バスでも問題なく駐車できます。
能登ワインへのアクセスは、車だと金沢からはだいたい1時間半ほどかかります。
日本海沿いの道は眺めも良いですし、能登には千枚田など素敵な観光スポットがいろいろとあり、海の幸も豊富で美味しいです。
宿泊してもいいですし、1日ドライブをしてワイナリーと観光地巡りを楽しむのもいいでしょう(能登には他にもワイナリーがあります)。
飛行機だと、のと里山空港から「ふるさとタクシー」という乗り合いタクシーが利用でき、安価に移動できます(事前予約が必要です)。
基本情報
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料金
お問い合わせください。
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営業時間
※現在能登半島地震の影響によりオンライン販売のみ。店舗休業中
通 年(冬季以外)9:00~17:00
冬季営業時間 9:00~16:30 (期 間:12/1~2/28) -
定休日
定休日:12/31~1/2
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お問い合わせ先
能登ワイン
0768-58-1577
[email protected]
ワイナリー見学:事前予約が必要です(休業日の12/31~1/2を除く)試飲無料
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公式サイト ※外部サイトに遷移します
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住所
石川県鳳珠郡穴水町字旭ケ丘り5番1
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アクセス
金沢駅から車で1時間30分
のと空港から車で22分
※掲載されている情報は、時間の経過により実際と異なる場合があります。
記事作成者:COREZO
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